【感想】石田 衣良「カンタ」【あらすじ付き】

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ひとり言
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ご挨拶

こんにちは、こんばんは、ちまです。
桜が満開になりましたね。とてもキレイで外を歩くだけでワクワクしちゃいます。
今日お話しするのは、石田衣良さんの「カンタ」です。

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あらすじ

幼馴染で兄弟のように育ったカンタと耀司。
発達障害をかかえるカンタは、自分のたった一人の理解者である耀司のために生きることを決意しています。
成長したふたりは力をあわせ、無料ゲーム運営会社を興しますが、そこで思わぬ罠にはまり、命を狙われるようになってしまいます。
すべてを引き受け、死を決意したカンタの運命は……?

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ひとり言

石田衣良さんの「カンタ」を読みました。
カンタの純粋でまっすぐな一途さに心をつかまれました。
カンタは発達障害があり、人の心やその場の雰囲気を読み取ることが苦手で他の人と上手く関係を築くことができません。けれども数字にはめっぽう強く数字なら何でも覚えてしまいます。
それに対して耀司は、美しく成績優秀で友達や周りの大人たちから一目置かれている優等生です。
二人には父親が無く、5歳の時に団地の隣人として出会いました。出会ったその日から二人は無二の親友となりました。
このような二人を見てきた病弱なカンタの母親は、亡くなる直前、耀司にカンタの事を託します。
そしてカンタには、「これからも耀司くんと一緒に生きていくのよ。耀司くんに何かあったら命を捨てるつもりで耀司くんを守りなさい。それがカンタ、お前の一生の仕事よ。」との遺言を残すのです。他の人と上手く付き合っていけないカンタを残して旅立たなければならないお母さんは、どんなに辛い思いでカンタにこの言葉を残したことでしょう。
この小説の前半は人と上手くかかわれないで問題を起こすカンタを守る耀司の目線で、後半はお金を稼ぐ事に夢中になっていく耀司を心配するカンタの目線で描かれています。
どちらの目線も、お互いに自分には無いものを補い合い、支え合いながら相手のことを思いやる気持ちがあふれています。
耀司はカンタと二人で作った会社でお金を稼ぐ事に囚われ、窮地に陥ります。カンタの頭の中には、この会社の財務にかかわる情報が全て入っています。
カンタは耀司を助けるため、「今こそ母親との約束を守る時だ。」とその情報を消すため、自らを消してしまおうとするのです。
そうしたカンタの行動に気づいた耀司は、自分にとって一番大切なものは何かという事にやっと気づき、何としてでもカンタの命を守ろうとします。二人ともカンタの母親との約束を守る行動を取るのです。
最後私は「カンタ、お母さんのためにも死んじゃだめ。」と心で叫びながら読んでいました。
人にとって一番大切なものは何かを見失わないようにしながら、人生の目標に向かってどういう生き方をすれば良いかを考えさせられ、それと共に一途である事は美しいと感じた小説でした。
そしてカンタの将来を心配しながら、上手く人間関係を築くことのできない子どもを残して先立たなければならなくなった母親の、強く深い愛を感じた小説でもありました。
二人はこれからも窮地を乗り越えながら、カンタの母親との約束をずっと守りつつけて生きていくことでしょう。
カンタくんのお母さん、タイトルを見て下さい。
カンタくんが主人公ですよ。

今日が幸せな一日でありますように。