【感想】リチャード・バック「かもめのジョナサン・完成版」【あらすじ付き】

スポンサーリンク
ひとり言
スポンサーリンク

ご挨拶

こんにちは、こんばんは、ちまです。
蒸し暑くなってきましたね。この季節になると麦茶がとても美味しいです!
今日お話しするのは、リチャード・バックさんの「かもめのジョナサン・完成版」です。

スポンサーリンク

あらすじ

「飛ぶ歓び」「生きる歓び」を追い求め、自分の限界を突破しようとした、かもめのジョナサン。群れから追放された彼は、精神世界の重要さに気づき、見出した真実を仲間に伝える。しかし、ジョナサンが姿を消した後、残された弟子のかもめたちは、彼の神格化を始め、教えは形骸化していく……。新たに加えられた奇跡の最終章。帰ってきた伝説のかもめが自由への扉を開き、あなたを変える!

スポンサーリンク

ひとり言

リチャード・バックさんの「かもめのジョナサン・完成版」を読みました。
1970年に発表された「旧作」を何度か読んだ後、2014年発表の「完成版」を読みました。
主人公は、一羽のかもめです。名前は、ジョナサン・リヴィングストン。
彼は、食べることよりも何よりも、飛ぶことが大好きです。そのため、食べるために飛ぶ仲間の中に、溶け込むことが出来ません。
彼は来る日も来る日もどこまで低速で飛べるか、どれほど低く海面に近くを飛べるかを練習します。食べることも忘れ、骨と羽根だけになっても、母親から注意されても、高度な飛び方を試します。彼にとっては、周りの評価より、より高度な技術で飛ぶことが生きがいになっているのです。周りには理解されない、孤独な闘いです。
そんなある日、彼は高速で飛んでいる時、操縦不能になり、体ごと海面に突っ込んでしまい、気を失ってしまいます。
日没後、目を覚ました彼は自分の内側から発せられる暗い声を聞きます。その声の中からヒントを得て、彼は時速三百四十二キロという高速飛行を成し遂げます。
けれども、そうした彼の飛行技術は、カモメ社会の中では理解されず、「汝はカモメ一族の尊厳と伝統を汚した」とされ、ジョナサンは群れから追放されてしまいます。彼にとっては、何故追放されるのか理解出来ず、自分の飛行にそうした判断を下すカモメ社会に失望したのではないのでしょうか。
ジョナサンは「遙かなる崖」に流刑され独りになっても、何年もの間、速く飛ぶための訓練を続けます。そんな彼の前に、素晴らしい飛行技術を持った、光り輝く二羽のカモメが現れ、ジョナサンは、二羽のカモメに先導され「新しい世界」に飛び立ちます。
その世界では、飛行技術の向上心に溢れたカモメ達が飛び回っていました。
その中に、チャンという、時間と空間を自由に行き来できる長老がいました。彼は、一瞬で他の場所に瞬間移動することが出来るのです。
ジョナサンは、チャンの指導の元、より高度な飛行術や瞬間移動などを身に付けます。
チャンはジョナサンに「もっと他人を愛することを学ぶことだ」という最後の言葉を残して去って行きます。
チャンが去って日が経つにつれ、ジョナサンは、自分が習得した技術を若いカモメたちに教えたいと思うようになり、元の世界に戻ります。
追放されたカモメ達がいる「遥かなる崖」で、フレッチャーという最初の弟子が出来、ジョナサンの飛行術を学ぼうとするカモメたちは増えていきました。ジョナサンは、飛行技術を
身につけた彼らを従えて群れの元に戻ります。
初めは、長老達の妨害もありましたが、ジョナサンの飛行方法や思想に興味を持ち始めたカモメ達が集まり始めます。
ジョナサンはカモメ達に一通りの教えを終えると、弟子のフレッチャーに群れを任せて、再び旅立ちます。彼は、この地での自分の仕事は終わったと感じたのでしょう。
「旧作」はこのPart Three までの物語でした。44年の月日を経て「完成版」では、Part Four が追加されています。追加されたPart Four ではジョナサンが姿を消した後のカモメたちの様子が描かれています。
残されたカモメ達は、ジョナサンが去って何年間は、彼が言い残した教えを守り、飛行の練習にも熱中しました。真に飛ぶことを求めるカモメ達の黄金時代でした。
けれども、世代が代わって行くに連れ、彼らは段々とジョナサンを神格化し、飛ぶことよりも彼の言動のみを重視するようになります。そして直接ジョナサンから学んだ生徒達が亡くなると、巨大な墓が建てられ聖地となり、内容のない常識のみが群れを支配するようになって行きます。
若いカモメのアンソニーは、そうした風潮に疑問を持ち仲間に訴えますが、仲間には理解してもらえません。彼は、そんな思いを抱いたまま、毎日飛行の練習をしています。そんなある日、アンソニーは、生きている意味がないと絶望して、死を覚悟して高速飛行をしていました。その彼を追い抜いて飛ぶ一羽のカモメが現れます。
そのカモメの飛行技術に感動したアンソニーは彼に尋ねます。「一体、今のは何だったんです?。あなたは、誰なんです?」彼は答えます。「たのしく飛んでただけだよ。ジョンとでも呼んでくれ。ジョナサンだ。よろしく」
Part Three までの「生きる意味」という信念を貫くことで、自分にとって後悔のない充実した人生を送ることの素晴らしさを描いた物語が、Part Fourが追加されることによって、信念を貫くということが、前にも増して不自由な世界になったように感じました。私はそれでも、自由の先にある未来を信じたいと思います。
Part Fourが追加されたことによって、しがらみに囚われず「自由である」ことの価値をあらためて感じました。そして私は、この最後の場面に救われました。
人それぞれ、その時置かれている立場や考え方の違いから、「旧作」から44年ぶりに発表された「完成版」に賛否両論あって当然のことだと思います。
私がもう一度読みたいと思ったのは、「旧作」の方でした。

今日が幸せな一日でありますように。