【小説】小野寺 史宣「とにもかくにもごはん」【感想・あらすじ】

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雑記
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ご挨拶

こんにちは、こんばんは、ちまです。
最近ゲームをよくやるのですが、勇者になりきって全力で剣を振っていたら両腕が筋肉痛になりました(笑)
今日お話しするのは、小野寺 史宣さんの「とにもかくにもごはん」です。

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あらすじ

松井波子は、急逝した生前の夫との会話をきっかけに「クロード子ども食堂」をオープンします。
第二・第四木曜日の月2回、午後5時開店・午後8時閉店、子ども無料・大人300円、メニューは一種類。お客さんは、家庭の事情がある子どもたちや孤独なおじいさん。
みんないろいろあるけれど、優しく見守る波子やスタッフとの会話や温かいごはんに、前向きに生きて行くための元気を貰います。温かい余韻が残る物語です。

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ひとり言

小野寺 史宣さんの「とにもかくにもごはん」を読みました。
結婚して12年になる松井 波子は、3歳年上の夫の隆大と日常の会話もなく冷めた関係が続いていました。そんなある夜、波子は偶然、隆大がコンビニで買ったビールを公園で一人で呑んでいる姿を見かけます。隆大にどうして公園で呑んでいるのかを聞くと意外な返事が返って来ました。
「裏のアパートに住む少年をこの公園で時々見かけ、少年はいつもベンチに座って一人でパンを食べていた。何度か会ううち、話しをするようになり、少年の家庭の事情がわかってきた。少年は、母親から渡されたお金で夕食用にコンビニでパンを買い、アパートは電気が止められているため夜になると暗く、街灯のある公園の方が明るいので、この公園で食べていると言う。しばらくすると少年は引っ越していったので、今はもう公園で会うこともないけど、何となく習慣になって、今もこうして公園で飲んでいる」そして、「一度でもいいから、エイシンくんにウチでメシを食わしてやりゃよかったなぁ。自己満足で何の解決にもならないことはわかっているけど、マイナスにもならないよ」と。この言葉は、波子の胸の中にずっと残っていました。
波子が、公園での会話から夫婦関係が少しは良い方向へ進むのではないかと思っていた五日後、隆大は、40歳の若さで交通事故で突然亡くなります。子供の航大は、まだ小学年でした。
住宅ローンの返済も免除され、会社からの補償や生命保険金もあり、充分なお金が残されましたが、波子はパートを続けます。けれども、働いていても寂寥感は埋められません。
夫の事故から7年経ち、航大も17歳になった時、波子は公園での夫の言葉に後押しされ「子ども食堂」をやろうと行動に移します。
それからの波子の行動力には、驚かされます。航大が子供の頃、カフェ「クロード」のガラスを割って逃げたため、ギクシャクした関係になっていた経営者の黒沼さんに、閉店した「クロード」の店舗を無償で貸して貰えないかと交渉するのです。その後もスタッフの確保など、食堂としてオープンするために必要なことを次々とこなして行きます。恐るべき行動力です。そして、第二・第四木曜日の月2回、午後5時開店・午後8時閉店、子ども無料・大人300円、メニューは一種類の「クロード子ども食堂」はオープンします。
食堂に来る子ども達には、さまざまな家庭の事情があります。私は、そうした子どもたちが登場する度に、エイシン君のことが思い出し切なくなりました。波子とスタッフたちは、さりげなく温かく子どもたちを見守ります。波子の「ありがとう」を求めず、自分がやりたいからやっているという姿勢は、子どもたちにとって食堂が居心地の良い場所になったのではないでしょうか。心のこもった温かい食事は人にとって、心の栄養にもなるのだと思いました。
食堂には子どもたちだけでは無く、孤独な老人も訪れます。スタッフもそれぞれ抱えている悩みがあります。食堂に来る子どもたちの話し相手になっている波子の息子の航大も含めて、大人も「子ども食堂」に関わることによって、自分を見つめ直す良いきっかけになっているのではないかと思いました。そして波子自身も「子ども食堂」をオープンすることによって、救われた部分があるのではないかと思いました。
ずっと気掛かりだったエイシン君が、その後お父さんに引き取られて、再婚後に生まれた賢翔(けんしょう)君のお兄ちゃんになっていきなり現れた時には、嬉し涙がどっと溢れました。高校1年生になった英信(えいしん)君は、家族の力となるしっかりとした少年に育っていました。「子ども食堂」を開くきっかけとなったエイシン君が、前向きに生きていて幸せそうで本当に良かったと思いました。
航大と英信君が何でも話せる兄弟のような関係になるといいなと思いました。やんちゃな兄としっかり者の弟でしょうか。
私は今まで「必要に迫られる」という言葉をネガティブな言葉として捉えていましたが、これからは何かをする時「必要だからやる」という風にポジティブに物事に取り組みたいと思いました。
最後は、涙で読み終えましたが、心がとても温かくなる余韻の残る物語です。 

今日が幸せな一日でありますように。

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