【感想】秋川 滝美「向日葵のある台所」【あらすじ付き】

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ひとり言
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ご挨拶

こんにちは、こんばんは、ちまです。
最近早朝に散歩をするようにしています。人通りの少ない時間に歩くのは気分爽快です!
今日お話しするのは、秋川滝美さんの「向日葵のある台所」です。

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あらすじ

森園麻有子(46歳)は、中学2年生の葵と二人暮らし。ある日、自分勝手な姉から、倒れた母を引き取って欲しいと電話があった。実家と折り合いが悪く、極力関わらないようにしてきたのに――。不安が募る中、疎遠な状態だった母親との生活が始まる。唯一の救いは、自分の味方である葵が、祖母の扱いが上手なこと。しかし、目をそらしたい現実はすぐそこにあって……。肉親だからこそ許せなかった過去に、麻有子は決着をつけられるのか。

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ひとり言

秋川滝美さんの「向日葵のある台所」を読みました。
46歳の森園麻有子は、私設美術館に勤める学芸員です。妊娠中に離婚をして、中学二年生の娘の葵を一人で育てています。
そうした中、姉の鈴子から母親の正恵が脳梗塞で倒れたとの電話がかかります。麻有子は鈴子に、夫と正恵の折り合いが悪いので、正恵を引き取って介護をして欲しいと頼まれます。
麻有子は、子供の頃からずっと母親に言葉による虐待を受けていて、その事は家を出て20年以上経った今でも、かつての正恵の言葉が蘇って苦しい思いをする程のトラウマになっています。実家とは縁を切ったつもりでいた麻有子でしたが、鈴子に強引に押し切られ、正恵と同居することになります。
同居後、麻有子は正恵の自分への接し方が以前と比べ、随分と柔らかくなったと感じますが、長年のトラウマからなかなか素直には受け入れられません。身勝手な鈴子の行動や、かつての正恵の躾と称した理不尽な言動に、重苦しい気持ちで読んでいました。そんな中、娘の葵ちゃんと葵ちゃんの親友の茜ちゃん、二人の可愛い存在に随分助けられました。
正恵は 、得意な料理や掃除、洗濯など家事を手助けして、三人の暮らしも何とか順調にいっていましたが、そうした矢先、正恵に生死に関わる病気が見つかります。正恵は以前から気付いていましたが主治医にも口止めして、一人で対処しようとしていました。麻有子は主治医から家族としての相談を受け、初めて正恵の病気のことを知ります。
正恵は、自分のことを気遣ってくれる葵をみて、二度の流産や男の子を授かることの出来なかったことによる夫との不和、鈴子を間違った育て方をしてしまったことの後悔、そうしたことが一因となって、言葉による虐待で麻有子に辛く当たってしまったことなどを麻有子に話します。そして、鈴子の夫との関係が上手く行かなくなったため、麻由子のところへ来たのだと言います。今まで知らなかった母親の過去を知ったものの、現実を突きつけられた麻有子は絶望の淵に沈みます。確執のできてしまった関係の修復は本当に難しいのだと感じました。
それでも翌日、ずっと麻有子を支え続けてくれている美術館の副館長の日置克美のアドバイスもあり、もう一度正恵と話し合いをしてみようと決心します。
正恵と会って、どんな言葉をかけようかと迷いながら帰宅した麻有子が耳にしたのは、正恵と葵が楽しそうに料理をしている声でした。そして、その流れで自然な形で正恵と話をすることができ、正恵から、麻有子との同居を選んだのは、鈴子のためでもあるけれど、麻有子と過ごす時間ができるためだったと聞かされます。正恵は、どんな理由があったとしても、これまで自分が麻有子にやっていたことは、人として最低のことだった。そして、これは最後のチャンスかもしれないと思ったことや、同居後の優しくて思い遣りのある葵の存在がこれまでの自分の取ってきた子育てが間違っていたことに気づくきっかけになったことなど、今まで口にすることができなかったことを麻有子に伝えます。
そして、麻有子と葵が自然に「ありがとう」と言い合い、葵が自分に対しても「ありがとう」と言ってくれるのに比べて、自分は麻有子に対して一度も「ありがとう」と言わなかったことを後悔します。人間関係において、『ありがとう』という言葉の重要性を改めて感じました。麻有子と正恵の何十年にも渡る確執が、葵と料理を通して、少しずつ少しずつ解けていったのだと思いました。
親子に限らず、こじれてしまった人間関係を修復するのはなかなか難しいことですが、何かのきっかけで改善することも不可能ではないのかと思いました。そして、そのためには、きっかけを見逃さないことが重要だと思いました。
最初は戸惑いから始まった三人の同居でしたが、正恵や麻有子にとって、これまでのお互いの思いを知り、これまでの関係を改善するきっかけになり、特に葵ちゃんにとっては、おばあちゃんと暮らして一緒に料理をしたことは、かけがえのない楽しかった想い出になるのではないでしょうか。
どうしても許すことの出来ない相手に対して、少しでも歩み寄ることができた時、自分自身も救われるのではないかと感じた一冊でした。

今日が幸せな一日でありますように。

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