【ちまのひとり言】瀬尾 まいこ「春、戻る」

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雑記
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ご挨拶

こんにちは、こんばんは、ちまです。
日中暑い日が増えてきましたね。あまりにも暑いので我慢できず我が家もついにエアコンを使い始めました。
今日お話しするのは、瀬尾まいこさんの「春、戻る」です。

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あらすじ

結婚を控えたさくらの前に、兄を名乗る青年が突然現れた。どう見ても一回りは年下の彼は、さくらのことをよく知っている。どこか憎めない空気を持つその“おにいさん”は、結婚相手が実家で営む和菓子屋にも顔を出し、知らず知らずのうち生活に溶け込んでいく。彼は何者で目的は何なのか。何気ない日常の中からある記憶が呼び起こされて――。

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ひとり言

瀬尾まいこさんの「春、戻る」を読みました。
3月のある日、6月に結婚を控えていた36歳の望月さくらの前に、突然12歳年下の「お兄さん」が現われ、物語が始まります。
さくらにとっては初対面のはずなのに、馴れ馴れしく話しかけ、さくらが近々結婚することや、牛乳が苦手なこと等、さくらのことを詳しく知っていました。けれども、さくらが名前を聞くと、曖昧にして名乗ろうとしません。さくらは、男の子が現れて、何かを思い出そうとしますが、記憶は何年か遡ったところで、扉を閉めてしまいます。
12歳年下のお兄さんなんているはずがないと、最初は作者が作った架空の人物なのかなと思いながら、お兄さんの正体に興味を持ちながら読み進めました。
さくらは、両親と和菓子屋を営んでいる38歳の山田哲夫との結婚が決まったため仕事を辞め、週2回和菓子屋の手伝いに行っています。
その後も謎の男の子は、頻繁にさくらの前に現れ、さくらに料理を教えたりします。
さくらは、妹と子供の話題になった時、「十三年前、一年だけ小学校の教師として働いたけれども、その小学校での仕事はまるで上手く行かなかった」という思いが胸をよぎります。閉ざされている記憶はこの時のことだと思いました。
5月の連休中、男の子の提案で、さくらと山田と男の子の三人で遊園地に行きます。その時からさくらは男の子を語る時、男の子ではなく「おにいさん」と語るようになります。何度か会っているうちに、男の子が、自分のことを見守ってくれるお兄さんのような存在のように感じるようになってきたのだと思いました。
その後おにいさんは、少しずつ自分のことを語り出します。さくらはその都度、何かに近づけそうになりますが、やはり記憶は扉を閉ざしてしまいます。
おにいさんは、自分の過去のことを話したのだから、さくらにも過去のことを話して欲しいと言いますが、さくらは拒みます。辛い記憶は、誰しも思い出したくなく、封印して何とか今の生活を維持しようとしまいがちです。さくらは、一体何が原因で、記憶を閉じ込めなければならない程の辛い経験をしたのだろうかと思いました。
それからおにいさんは、しばらく来なくなります。
一か月近く現れなかったおにいさんが現れます。おにいさんは、大学進学でこちらに来てから六年間、父親に頼まれてさくらのことを見ていたことを打ち明けます。そして「僕にとって、さくらは初めて会った外から来た人だから」と言います。さくらは、その言葉を聞いて、「岡山の小学校で働いていた私をみんな温かく迎えてくれた。それなのに、私はたった一年でその地を逃げるように去ってしまった。ここへ戻ると同時に固くしまいこんだそこでの日々の中に、きっとおにいさんはいるのだ。私のことを気にかけてくれるお父さんと一緒に。答えはもう目の前に近づいている」と気づきます。
引っ越しの準備をしている時、おにいさんが「予想どおりに行かなくたって、さくらが幸せに思えるんならそれでいいじゃん」と言う言葉を聞いてさくらは、ずっと前に「思い描いたとおりに生きなくたって、自分が幸せだと感じられることが一番だ」と教えられ、その言葉に救われたことを思い出します。
おにいさんは最終回の料理に、きんぴらを作ります。具沢山の特製のきんぴらです。さくらは以前このきんぴらを何度も食べたことがあり、おにいさんの名前は「小森いぶき」であることを思い出します。そしてさくらは、赴任先の担当クラスの生徒たちとうまく関係を築けず、校長先生や周りの人達の温かい思いやりにもかかわらず、子供の頃からの夢であった教師の仕事を1年で辞めてしまった辛い過去も思い出します。
そして本文の、「何年か振りに光を当てられた日々は、とても静かによみがえった。取り出せば進めなくなる。そう思っていた時間は、ただゆっくりと広がるだけで、無駄に私を苦しめたりはしなかった」という語りから、さくらは、辛かった記憶を自分の過去として受け止めることが出来たのだと思いました。
教師を辞める前に、さくらは校長先生に家に招かれそこで初めて、いぶきと会いました。いぶきは小森校長の息子でした。いぶきはその時、久しぶりに外に出たと言います。いぶきにも、父親の期待に応えようと頑張り過ぎて、挫折した過去がありました。いぶきはさくらと会うことによって、外に出て前に進もうと思うようになったと言います。
さくらの結婚相手の山田は、おにいさんのことをすんなり受け入れたり、しばらく現れないおにいさんを一緒に探し「さくらさんを大事にしている人は、僕にとっても大事な人」と言うような、とても包容力のある人です。おにいさんがさくらと山田の間に入ることで、二人はお互いの大切さを再認識出来たのではないかと思いました。
さくらのことをを娘のように思っていた校長先生の温かい思いがさくらに届き、この物語が生まれたのだと思いました。傷ついた辛い記憶の扉は人の温かい思いによって開かれました。
親戚を集めての食事会は、予定より三人増えました。小森家の三人は、今後も山田家や望月家と家族同然の付き合いをしていくことでしょう。みんなに「春」が訪れました。
いぶき君は、12歳も年下なのだから、弟だと名乗ればいいのにと思いましたが、いぶき君には彼なりのこだわりがあるようです。

今日が幸せな一日でありますように。

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