【小説】柚木 裕子「ミカエルの鼓動」【感想・あらすじ】

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ひとり言
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ご挨拶

こんにちは、こんばんは、ちまです。
最近よくキャベツを食べるのですが、千切りが上手くできず困っていました。
そんな時、夫がキャベピィMAXを教えてくれました。
人気商品らしく、通販などではすぐ購入できない状態だったのですが、近くのホームセンターに販売しているのを発見し購入することができました。
切れ味抜群であっという間に山盛りの千切りキャベツができるので、とても重宝しています!
今日お話しするのは、柚木 裕子さんの「ミカエルの鼓動」です。

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あらすじ

大学病院に勤務する西條泰己は、手術支援ロボット「ミカエル」による最先端医療の第一人者です。
そうした彼の前に、ドイツから招かれた真木一義が現れ、彼の目の前で「ミカエル」を用いない完璧な手術を完遂します。
そうした中、心臓に難病を抱える少年・白石航の手術が決まります。その手術方針をめぐり、二人は激しく対立します。
天才心臓外科医の正義と葛藤を描きながら、医療の在り方、命の意味を問う感動の物語です。

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ひとり言

柚木 裕子さんの「ミカエルの鼓動」を読みました。物語は、凄まじい吹雪の雪山で一人の男が遭難しかかっているシーンから始まります。
男はそれでも何かを探し求めて歩き続けます。
北海道中央大学病院で病院長補佐の西條泰己(やすみ)は、医療用ロボット「ミカエル」のロボット支援下手術の第一人者です。
「ミカエル」には、患者の身体の負担や出血や感染症のリスクが少なく、遠隔操作をすることで作業工程を短縮でき、
医師の体力の消耗も低減できるなどのメリットがあります。デメリットは、医師の技術力がいることです。
技術力のある西條はロボット支援下手術を推進することこそ、これからの医療と患者のために必要なことだと信じ、手術を行なっていました。
そうした中、病院長の曽我部が、循環器第一外科科長としてドイツから真木一義(かずよし)を招きます。
真木は西條の目の前で、驚異的な速さで正確に従来の開胸手術を成功させます。西條は、徐々にライバルとして真木の存在を意識するようになっていきます。
技術力があり医師として確固たる地位を築いている者にとっても、嫉妬という感情があるのだと思いました。
そうした中、心臓に難病を抱える少年・白石 航(わたる)の手術を行うことになります。
「ミカエル」による手術を主張する西條に対し、真紀は「ミカエル」は使わず、自分が開胸手術をすることこそ航少年の命を守るために必要なことだと主張し、
二人は激しく対立します。
これからの医療のためにも「ミカエル」による手術を主張する西條と、目の前の患者の命を救うことを最優先とする真木。
そして病院長の、利益を追求しながら患者や家族が納得出来る医療など、それぞれの医師としての在り方を感じましたが、
やはり目の前の患者の命を最優先に考えた医療をすべきではないかと思いました。
そうした中、西條は自分を慕っていた布施医師の自殺の原因が「ミカエル」の性能に関することを知ります。
そして、接触して来たフリーライターの黒沢から「ミカエル」には不審な噂があることを聞き、思い悩みます。
命を救うための最先端医療用ロボット「ミカエル」に対する不審や病院内での権力闘争、医療機器メーカーとの関係など不穏な空気の中、
西條は「ミカエル」による心臓手術を続けます。救われる多くの命を守るべきなのか、立ち止まるべきなのか、西條の医師としての苦悩を感じました。
真木と西條の気迫のある航の手術シーンは、緻密な現場描写で緊迫感があり、息を呑み手術が成功することを祈りながら読みました。
「ミカエル」を使った人工弁置換術と開胸による弁形成術、二人の連携で航の手術は無事終わりました。
手術を終え「ミカエル」の欠陥が表沙汰になった後、西條は、真木が雪山で遭難しそうになりながら見つけた境地を追い求め、冬山に登ります。
吹雪の冬山を彷徨いながら西條は、吹雪の垣間から覗く柔らかな光を感じます。
西條が、航君の手術前に渡したひまわりの種を、医師として航君と一緒に埋める日が来ることを願いながら、読み終えました。
医療とは何か、命とは何かを問いながら、現代医療の在り方を問う心に残る一冊でした。
今日が幸せな一日でありますように。