【感想】朝井 リョウ「何者」【あらすじ付き】

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ひとり言
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ご挨拶

こんにちは、こんばんは、ちまです。
また寒い日が続いていますね。体調を崩さないように気を付けましょう。
今日お話しするのは、朝井リョウさんの「何者」です。

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あらすじ

就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。

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ひとり言

朝井リョウさんの「何者」を読みました。
男女5人の大学生の日常の生活を通して、現代の若者ならではの就職活動のやり方や、SNSを利用することによって人間関係が変わっていく様を描いた「就活」の物語です。
就職求人は売り手市場になったり買い手市場になったり、その時の景気によって大きく左右されます。この物語は少しづつ景気が上向いてきた2012年頃の設定だと思われます。
大学5年目の5人が、就活を乗り越えるための情報を交換し合うために「就活対策本部」を作るところからこの物語は始まります。
主人公の二宮拓人は就活の前まで、演劇サークルで脚本を書いていました。冷静で人の分析をするのが得意です。
拓人の友人の神谷光太郎は、拓人とルームシェアしていて、天真爛漫で明るい性格です。大学サークル内でバンドのボーカルをしています。
光太郎の元カノで拓人が密かに好意を抱いている田名部瑞月は、留学経験があり、真面目で堅実な性格です。
瑞月の友人の小早川理香も留学経験があり、就活に高い意識を持っています。
理香と同居している宮本隆良は、就活対策本部に参加するものの自分の理想を語り、就職活動には批判的な態度を取っています。
就活前は、表向きはこのような性格の5人ですが、就活が始まると表面的には協力し合いながも、本当の自分を隠して自分を演じ始めます。けれども、就活が上手くいかなくなってくると、徐々に心の中に、互いへの軽蔑や嫉妬という感情を持つようになってくるのです。
私の中にも、演じているつもりはなくても、そうした部分があるのではないかと少し怖くなりました。
けれども、誰しもそういう一面を持っているのではないでしょうか。皆が本音だけで生きていっては、円満な社会生活は成り立ちません。社会生活を営む上で、ある程度はそうした振る舞いが必要な時もあるのではないかと思いました。
最初に内定を取ったのは、瑞月でした。そしてその次は、光太郎。
拓人と相手に過剰に適応しようとする理香は、なかなか内定を取ることが出来ません。
そうした焦りの中で拓人は、「何者」と名乗りツイッターの裏アカウントで仲間を否定し始めます。
本人の前では本音で話せないことを「何者」に呟かせるのです。
仲間を見下すことで、何とか自分を支えようとする拓人の焦りを感じました。
内定を取れた者を「勝ち組」、取れなかった者を「負け組」という線引きが明らかになり、そこに仲間との競争意識が生まれたための焦りではないかと思いました。
拓人のツイッターを見た理香は、拓人に言います。
「いい加減気づこうよ。私たちは、何者かになんてなれない」「自分は自分にしかなれない。痛くてカッコ悪い今の自分を、理想の自分に近づけることしかできない。みんなそれをわかってるから、痛くてカッコ悪くたってがんばるんだよ。カッコ悪い姿のままあがくんだよ」と。
そうした理香とのやりとりの後、拓人は再度面接に挑みます。その時の感触で、拓人は「たぶん、落ちた」と思います。
けれども、「だけど、落ちても、たぶん、大丈夫だ。不思議と、そう思えた。」と思うのです。
この小説では、SNSを利用する場面が出て来ます。SNSには、必要な情報が簡単に入手出来たり、自分が求める交流関係が簡単に築きやすい反面、自分が必要とする情報以上の情報も入ってきます。投稿することによって、人を傷つけてしまうこともあります。利用する時にはしっかりとした目的を持って、利用する必要があると思いました。
私は、「あなたは誰ですか。」と聞かれたら、自分の名前を言うことが出来ます。
けれども、「あなたは何者ですか。」と問われたら、「私は私です。」としか答えられません。
理想だけでは前に進めません。
周りに惑わされることなく、不安から目をそらすことなく、自分を見失わないようにして、理想の自分に近づく努力をすることの大切さを強く感じました。
自分の「生き方」は最後は自分で見つけるしかないのです。

今日が幸せな一日でありますように。