【ちまのひとり言】桂 望実「僕とおじさんの朝ごはん」

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雑記
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ご挨拶

こんにちは、こんばんは、ちまです。
GWがあっという間に終わってしまいましたね。
私は宣言した通り猫たちの動画撮影の日々でした。
今日お話しするのは、桂望実さんの「僕とおじさんの朝ごはん」です。

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あらすじ

無気力に生きるケータリング業者の水島健一。先輩の忠告も、派遣先で問われる不可解な薬の存在も軽く受け流してきたのだが、ある少年と出会い、それらと真面目にかかわらざるを得なくなる――。少年が最後に下した決断に、水島はどう向き合うのか!

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ひとり言

桂望実さんの「僕とおじさんの朝ごはん」を読みました。
主人公の四十四歳の水島健一は、バツイチでケータリングサービスをしています。
息子の司が中学一年の時に離婚して、司は前妻の厚子と暮らしています。現在、司は高校一年で、何か問題が起こると、父親の健一を頼っています。
健一は、誰とも深くかかわらず、面倒くさがりで、何をするのも無気力です。
ケータリングサービスも、どれだけ手抜きをして、出来あいの物を見栄え良く盛り付けて収入を得るかを考えて仕事をしています。
ネットでは、「ケータリングの仕事をしながら、病死と判断される『死ねる薬』を売っている男がいる」と話題になっていて、ケータリングにかこつけて、色々な悩みを抱えた人が健一の元を訪れます。自分とは無関係な情報に、その都度健一は戸惑います。
健一は、二十三年前に親友と妹を山の遭難事故で亡くしています。遺体は、未だ見つかっていません。一緒に登山する予定を自分がキャンセルしたため、助けることが出来なかったとずっと自分を責め続け、毎年命日に山の近くのロッジを訪れています。
この時の罪悪感が、健一の性格を変えました。この時から、健一は一生懸命に生きるのを止めてしまったたのです。
健一は、車の大事故に遭遇した時、命がけでバレリーナの寛子を助け出します。寛子は、命は助かったものの、左腕を失ってしまいます。
事故後の寛子との出会いは、健一を少しずつ変えていきます。
自分の作った料理を食べてくれる相手のことを考えて料理を作ってみようと思うようになるのです。
健一は、腰痛のリハビリのために病院に通っています。そこで、十三歳の英樹という少年と出逢います。英樹は、その後の健一の人生に大きな影響を及ぼします。
英樹は、生まれた時からずっと病院で暮らしていて、天体観測が趣味です。
英樹は、健一が持っていたあんこを挟んだサンドイッチが珍しいらしく、興味津々の様子を見せます。そこで、健一が「ぜんぶ食っていいぞ」と渡すと、病気のために食の細い英樹が、美味しいそうにパクパク食べるのです。その様子を見て、いかに手を抜いて作るかを考えて料理をしていた健一が、英樹が少しでも食べられるようにと考えて弁当を作るようになります。
英樹の存在が、健一の料理に対する姿勢に変化をもたらしたのです。
英樹は、何度手術をして苦しい思いをしても治らない病気に、「もう疲れた」と次の手術を拒否し、尊厳死を望みます。十三歳の英樹の決断です。
「生きてさえいてくれればそれでいい」という英樹の両親。「僕の命は僕のものだ」という英樹。両親と英樹、その両方の想いがわかるが故に苦しむ健一。
何故、それぞれの立場でこんなに苦しい思いをしなければならないのかと、非情な運命に心が痛くなりました。
そんなある日、英樹が健一に言います。「僕のために最後の晩餐を作ってくれないかな」
オーダーは、病院では食べられないトーストと目玉焼きでした。その日から五日間、最高のトーストと目玉焼きを作るために、健一の試行錯誤が続きます。
そして英樹からリクエストのあった最後の晩餐の日、健一は、英樹の目の前で最高のトーストと目玉焼きを作り上げるのです。
健一は、この上なく幸せそうに、美味しいそうに食べる英樹の姿を見て、嬉しさのあまり泣いてしまいます。
健一が、人のために料理を作る意味に気づき、吹っ切れた瞬間だと思いました。
自分の作った料理を、美味しく食べて喜んでもらいたい。そのためには、心を込めて手抜きをすることなく、食べてくれる人のことを考えて丁寧に作る必要があるのだと気づくのです。
尊厳死を望んでいた英樹は、別の病気に罹って亡くなります。予定より早く星になってしまいました。
健一はふとした時に、心の中で英樹に語りかけています。英樹のお父さんの繁幸は、望遠鏡を買いました。新しい星を見つけて「英樹」と名付けるのが夢のようです。
健一は、食べてくれる人のことを考えながら、心を込めて料理をするようになります。
健一の息子の司はそうした父親の姿を見て、健一に一目置くようになります。そして、これまでと全く違う父親をちょっと格好良いなと思うのです。

英樹君、君はすごいよ!
君のお陰で、お父さんは無二の親友が出来、お母さんは最高の料理の先生が出来たんだよ。そして何に対しても無気力だったおじさんを、食べてくれる人のことを考えて、丁寧な料理を作ることに目覚めさせ、更に息子に一目置かれる存在にするなんて、本当に凄いよ。
自分のことを「欠陥品だ」とか「何も残せない」とか言っては駄目だよ。
君は、残された人の心の中に掛け替えのない大切な人としてずっと存在し続けるのだから。

今日が幸せな一日でありますように。

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