ご挨拶
こんにちは、こんばんは、ちまです。
今日お話しするのは、窪美澄さんの「水やりはいつも深夜だけど」です。
窪美澄さんは1965年に生まれ、2009年、「ミクマリ」で『女による女のためのR-18文学賞大賞』を受賞し作家デビューされます。
「ミクマリ」を収録した「ふがいない僕は空を見た」は、本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10で第1位、2011年本屋大賞で第2位に選ばれ、その後も多くの賞を受賞し、2022年には「夜に星を放つ」で第167回直木賞を受賞されています。
社会問題や女性が直面する妊娠や出産に関する問題など登場人物の孤独や苦悩、心情が丁寧に描写されている作品に引き込まれます。
本作品も家族のことを再認識するきっかけになる一冊です。
ひとり言
窪美澄さんの「水やりはいつも深夜だけど」を読みました。
同じ街で同じ幼稚園に通う子どもがいる家族を舞台にした5編の短編集です。それぞれに植物の表題がつけられ、植物を通して登場人物の心情が描写されています。
子供の頃虐められ人間関係に疲れ、その反動でブログに料理や服の写真をアップし、返って来るコメントに癒されるものの、セレブな主婦を演じることに疲れた主婦。「ちらめくポーチュラカ」
何かと実家に頼ろうとする妻に対し、一生懸命手助けしようとすればするほど上手く育児に関わることが出来ず、妻や子供との間に距離ができ、疲れてしまう男性。「サボテンの咆哮」
知的障害を持つ妹を事故で亡くし、生まれてくる自分の子供にも障害があるのではないかと不安を感じ、出生前診断を受けようとして夫に反対され、検査を受けず無事に出産後も、子供に対する発達障害の不安が拭いきれない母親。「ゲンノショウコ」
妻が働き始め、日曜日の夜の食事当番を引き受け妻子のために食事を作り手助けするものの、妻の関心は子供に向けられ、夫婦の会話も少なくなり、その淋しさを家庭外で紛らわせようとする夫。「砂のないテラリウム」
父親の再婚で新しい家族ができて戸惑い、義母や義妹と上手く関係を築くことのできない女子高校生。「かそけきサンカヨウ」
様々な問題をを抱えている登場人物達の過去と現在が重なり描写されていて、それぞれの悩み苦しむ葛藤が伝わってきます。
「ゲンノショウコ」の、障害のある孫を障害児として特別扱いせず接していた祖母の生き方には、学ぶところがありました。
自分の家庭と周りの家庭を比べて、羨ましいと感じることはあります。幸せの価値観は人それぞれで、周りに流されないよう自分の価値観をしっかりと持つことが、家族を守るためにも必要なことだと思いました。
一見幸せそうに見える家庭にも、それぞれ問題を抱えていて、家族というものの存在を改めて考えました。そして、辛い現実から逃げ出したくなることもありますが、目を逸らさず現実に立ち向かう勇気の必要性を強く感じました。
「ゲンノショウコ」の、のんびりした風花ちゃん、「かそけきサンカヨウ」の女子高校生・陽(よう)の義母となった裏表のない美子(よしこ)さんやその子供の天真爛漫なひなたちゃんの存在が暗い内容を癒してくれていました。陽のボーイフレンドの陸くんも好青年で素敵です。
植物にとって必要な水は、人間にとっては思いやりなのかと思い、改めてタイトルを見ると心に響くものがありました。
どの話も最後に希望がある終わり方で、読後温かな余韻が残る一冊でした。
今日が幸せな一日でありますように





