【小説】瀬尾 まいこ「夜明けのすべて」【感想・あらすじ】

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ひとり言
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ご挨拶

こんにちは、こんばんは、ちまです。
先日、雨上がりに近所を散歩していると鳩が求愛行動をしていました。
残念ながらフラれていましたが、この後もめげずに他のメスに頑張ってアタックしていましたw
今日お話しするのは、瀬尾まいこさんの「夜明けのすべて」です。

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あらすじ

28歳の藤沢美紗は重いPMS(月経前症候群)が原因で会社を辞め、栗田金属に転職しています。
25歳の山添は順調に会社勤めをしていましたが、ある日突然パニック障害になり会社勤めが出来なくなり、美紗のいる栗田金属に転職して来ます。
それぞれの事情で仕事を辞めざるを得なかった二人は、最初はぶつかり合いながらも、温かく見守ってくれる社長や同僚の下で、徐々にお互いのことを理解し合い助け合っていくようになるます。
なかなか理解されづらい病と付き合いながら、前向きに生きていこうとする二人の、温かな余韻の残る心に優しい物語です。

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ひとり言

瀬尾まいこさんの「夜明けのすべて」を読みました。
28歳の藤沢美紗は、月に一度のPMS(月経前症候群)のため辛い思いをしています。
生理前になると急にイライラして感情を抑えられず、周りの人にひどく攻撃的になってしまうのです。そのことが原因で,勤めていた会社を辞めざるを得なくなり、現在はそうした美紗に理解のある社長が経営している社員6人の栗田金属に転職し働いています。
25歳の山添は、大手のコンサルティング会社に勤め順調に仕事をこなしていましたが、ある日パニック障害を発症し、仕事を続けることが出来なくなってしまいます。そのため会社を辞め、生きる気力も無くし日々を送っていました。
その山添が栗田金属に転職して来ます。
ある日美紗はPMSの時に、些細なことで転職してきたばかりの山添に当たってしまいます。やる気のなさそうな山添にイライラしたのです。
そうしたある日、ちょっとしたきっかけで、美紗は山添の病気に気づきます。
二人の病気は、なかなか他の人には気付いて理解してもらえないものです。
二人は、温かく見守ってくれる社長や社員のいる会社で働くうちに徐々に打ち解けていき、お互いに相手のことを気遣い、助け合うようになっていきます。
散髪の経験のない美紗が、いきなり山添のアパートに押しかけて山添の髪をカットし始めたのには、思わず笑ってしまいました。出来栄えは想像通りです。パニック障害の人は、一対一で接するような場所には行き辛いということを調べた上での美紗の行動でした。
お互いの恋愛感情は少しも感じられず、何だか微笑ましい同志のような関係だと思いました。
二人とも元々は明るく、人生に対しても前向きな性格だったのに、PMSやパニック障害のため、性格も変わってしまうほど辛い思いをしています。
そうした中、山添のことを気遣う美紗に対して社長が「病気の事を公表して楽になる人もいれば、誰にも気づかれずにいるほうが楽な人もいるから」と言った言葉に、社長の思いやりに満ちた温かい気持ちを感じました。そして、人に対してそういった対応をできる社長の下で二人が働くことが出来て、本当に良かったと思いました。
相手のことを思いやりながらも、噛み合わない二人の会話も面白くて、そうした場面では、心の中で笑いながら読んでいました。
山添は美紗の存在に助けられながら、自分なりにパニック障害の対処法を考えるようになり、徐々に周りの世界を見ることが出来るようになっていきます。そして、自分は仕事が好きだった事を思い出し、時代にとり残されそうになっていた栗田金属の発展のためにいろいろなアイデアを出します。
山添と美紗,そして栗田金属も新たな一歩を踏み出そうとする所で、物語は終わります。その後の山添や美紗、そして社長や同僚の奮闘が目に見えるようです。
最初は美紗が主人公だったのに,温かい人々に身守られて、いつの間にか山添が主人公のようになっていました。山添を主人公にしたのは美紗です。
二人の病との闘いはまだまだ続くと思いますが、病と付き合いながら前向きに生きようとする二人に元気づけられました。
人のことを思いやる気持ちが溢れた温かい物語です。

今日が幸せな一日でありますように。