【感想】森沢 明夫「水曜日の手紙」【あらすじ付き】

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ひとり言
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ご挨拶

こんにちは、こんばんは、ちまです。
オリンピックが開催されていますね。頑張っている人達を見ると元気をもらえます。
今日お話しするのは、森沢明夫さんの「水曜日の手紙」です。

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あらすじ

家族が寝静まった夜更け、日課として心の毒をこっそり手帳に吐き出していた井村直美は、そんな自分を変えたいと夢を叶えた理想の自分になりかわって空想の水曜日をしたため、「水曜日郵便局」に手紙を出す。一方、絵本作家になる夢を諦めた今井洋輝も婚約者のすすめで水曜日の手紙を書いた。会うことのない2人の手紙は、やがてそれぞれの運命を変えていき――。

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ひとり言

森沢明夫さんの「水曜日の手紙」を読みました。
この作品は実在していた『鮫ケ浦水曜日郵便局』をモチーフにして書かれています。
水曜日に起こった出来事やその日の気持ちを綴った手紙を出すと、局員さんが全国から届いた手紙をシャッフルして匿名で見知らぬ誰かに送るサービスをしている「水曜日郵便局」。
井村直美は夫と二人の息子と暮らしながら、家計の足しにパートで働いている主婦です。夫は父親が経営する小さな町工場の常務ですが、苦しい経営が続いています。
そんな彼女の楽しみは、家族が寝静まった後、パート先の上司や義母、夫などへの日頃の不満を日記に書きつけ、心の毒を吐き出すことです。
そんな生活の中、優雅な生活を送っている高校時代の友人伊織と会い、「水曜日郵便局」のことを聞きます。その後、伊織の優雅な生活に嫉妬した直美は、つい、きつい言葉を吐いてしまいます。自分の気持ちにゆとりがないと、相手に対して優しくなれないし、そんな自分も嫌いになってしまうという悪循環が続いてしまいます。
家に帰った直美は「水曜日郵便局」のことを思い出し、自分の夢であったパン屋のオーナーとして成功しているという、今の自分とは全く違う夢想の手紙を綴って投函します。
今井洋輝は、美大を出て、文房具メーカーに勤めるサラリーマンです。同期入社の小沼は早々に会社を辞め、ビルの清掃をしながら、プロのイラストレーターを目指しています。絵本作家になりたかったけれども、婚約者との生活のため仕事を辞めることの出来ない洋輝は、夢を追っている小沼を羨ましく思い、嫉妬しています。
そんな時、婚約者から「水曜日郵便局」のことを聞きます。
洋輝は、絵本作家になることを夢見ていながら、友達に嫉妬し悔しい思いをしている現実を赤裸々に綴り、これからは、絵本作家になるため、勇気を出して一歩前に進むという意気込みを書いて投函します。
光井健二郎は「水曜日郵便局」で働く郵便局員です。震災で妻を亡くし、高校生の娘と二人暮らしです。娘が東京の学校に行きたいと言っていたと知り合いから聞き、娘の夢を叶えようと応援します。けれども、娘は父親を一人残すことや家計のことで悩んでいて、二人の間に少しわだかまりが生じます。そんな時健二郎は、水曜日の手紙の仕分け中、直美と洋輝の手紙を読み、この二人の手紙を交換してあげようと思います。そして、この二人の手紙を、夢を追う娘にも読んで欲しいと思います。
洋輝からの水曜日の手紙を受け取った直美は、夢を諦め、愚痴を言い、上手くいかないことを他人のせいにして、しかも友人に嫉妬し、そんな自分が嫌いであると書かれている内容が、まさに自分のことだと思い当たります。そして最後の「絵本作家になるため、今日から一歩、前へと進み始めます」という言葉に刺激を受け、彼女の行動は変わって行きます。
洋輝も直美からの手紙を受け取リます。そして、そこに書かれていた「自分の心に嘘をつかない」「よかれと思うことはどんどんやる」「他人を喜ばせて自分も喜ぶ」という言葉を自分の人生の羅針盤として、絵本作家としての一歩を踏み出します。
お互いの手紙に刺激を受け、二人は前を向いて歩き始めます。そしてまた、二人の手紙を交換して届けた健二郎もこの二人の手紙をきっかけに、娘との関係が前向きに進んで行きます。
水曜日の手紙が、三人の未来の人生を変えて行きました。
直美と洋輝は、手紙を書くことにより自分の本当の気持ちを再認識し、相手の手紙を受け取ることによって一歩前に踏み出すことができました。
私も悩んでいる時、人の言葉や本に助けられたことが、何度もあります。
直美と洋輝と健二郎にとっては、水曜日の手紙が前に進むためのきっかけになりました。
温かくて癒され前向きになれる物語です。そして、心が疲れた時にまた読みたくなる一冊です。

今日が幸せな一日でありますように。