【ちまのひとり言】近藤史恵「昨日の海は」

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雑記
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ご挨拶

こんにちは、こんばんは、ちまです。
外に出ると色々な花が咲いていて、散歩するだけで楽しい気分になりますね。
今日お話しするのは、近藤史恵さんの「昨日の海は」です。

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あらすじ

いつも通りの夏のはずだった。その事件のことを知るまでは……。
海辺の小さな町で暮らす高校生・光介。夏休みに入ったある日、母の姉・芹とその娘の双葉がしばらく一緒に暮らすことになった。光介は芹から、心中と聞かされていた祖父母の死が、実は「どちらかがどちらかを殺した」無理心中事件であり、ここで生きていくために事実をはっきりさせたい、という決意を聞かされる。カメラマンであった祖父とそのモデルも務めていた祖母。二人の間にいったい何が起こったのか。残された写真が語るもの、関係者たちの歪んだ記憶、小さな嘘……。そして真相を追う光介が辿り着いた、衝撃的な事実とは……。

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ひとり言

近藤史恵さんの「昨日の海は」を読みました。
四国の南側に位置する海に面した温暖な土地、磯ノ森。ここで父母と暮らしていた高校一年の光介の家に、母の姉、芹と娘の双葉が東京から引っ越してくるところから物語が始まります。
光介の母は、カメラマンであった祖父とそのモデルを務めていた祖母のことを語りたがりませんでしたが、光介が中学生になった時、二人は海で心中したことを教えます。
その後光介は、叔母の芹から、祖父母の死は無理心中だったのではないかと思うと聞かされます。そして、自分も真相を突き止めたいと思い行動を起こすのです。
そうした行動の中で光介は、「ほころびのない世界はなんの苦労もなく与えられたものではないのだ、そして、自分が平穏で気楽な世界にいられるのはまわりの人のおかげと、ほんの少しの運の良さによるものなのだ」ということに気づくのです。光介の成長の第一歩だと思いました。
また、以前学校の授業で世界史の教師から聞いて、なぜかずっと心に残っていた「人には歴史が必要なのです。歴史というのは、単に過去に起きた出来事というだけではないのです。それは人が人であるために必要なものなのです」という、その時にはよくわからなかったことが理解できるようになっていくのです。
叔母である芹のためだけではなく、自分の歴史を知るためにも、光介は自分とつながる人たちの真実を知ろうとするのです。
そして、光介は真実に近づく過程で、芹が光介の母を守るために嘘をついたことに気がつきます。
その時光介は「嘘にはまわりの人を傷つけず守ろうとする愛から生まれる嘘もある」ということを知り、「騒ぎ立てて、なにもかも明らかにするばかりが正しいやり方ではない。口をつぐんで、知らなかったふりをすることだってできる。正しいということが、なんの力をもたないときだってあるのだ。」と芹の優しさに応えようと知らなかったふりをします。光介がまた大人へと一歩成長したと思いました。
祖父母の無理心中の真相を知ろうとするという重い内容の中で、芹の娘である8歳の双葉の存在にホッとさせられる場面が出てきます。
機嫌が悪い双葉に光介が、「明日、ジェラート食べに行く?」と話しかけると「行かない。甘いものを食べさせたら機嫌が直るなんて思わないで」とばっさり切られます。つい笑ってしまいました。また「子供って本当に損。大人の都合にばっかり左右されて」と大人びた振る舞いをします。
光介も祖父母の重い真実を探ろうとする中で、こうした双葉の存在に癒されていたのだと思いました。
祖父母の真実を知る過程で、光介は、「大人になることは嘘を上手く使いこなすこと。そしてその嘘は大切なものを思いやり、守るための嘘でなければならない。しかし、真実を告げるべき人には事実を告げるべきだ」と気づきます。そして、「大人になるということは、小さくない秘密を抱えることなのかもしれない。」と思うのです。
私は16歳の光介が、祖父母の閉ざされた過去の真実を知り、それを自分の歴史として受け止める柔軟性に驚きました。
10代の若さは、何かのきっかけで少年を一気に大人へと成長させるのです。
若さの力強さを感じました。

今日が幸せな一日でありますように。

【ちまのひとり言】近藤史恵「昨日の海は」

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