【小説】恩田 陸「ネバーランド」【感想・あらすじ】

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ひとり言
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ご挨拶

こんにちは、こんばんは、ちまです。
先日、ちいかわコラボのガチャガチャを目当てにバーミヤンに行ってきました!
普段だったら直ぐに座席に案内していただけるのですが、ちいかわ目当てのお客さんが多くて順番待ちが発生していました。
恐るべしちいかわ…予定があり待つのは無理そうだったので、食事は諦めてガチャガチャだけ1回回してきました。
一番欲しかった3人が揃ってるラバーバングルをゲットしました!
今日お話しするのは、恩田 陸さんの「ネバーランド」です。

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あらすじ

物語の舞台は男子校の寮である「松籟館」です。
冬休みに帰省をせず寮で過ごす高校2年の美国・光浩・寛治、そして通学組の統が加わった4人の7日間を描いた物語です。
4人にはそれぞれ辛く苦しい秘密がありました。彼らは、ゲームに負けた順にそのことを告白します。
お互いの辛い思いを、お互いのさりげない思いやりで包み、彼らの絆は徐々に深くなっていきます。
悩みながらも、友情に支えられて未来に向かう少年たちの瑞々しい青春が描かれた物語です。

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ひとり言

恩田 陸さんの「ネバーランド」を読みました。
物語は、高校2年の菱川美国が、冬休みに帰省せず、男子校の寮・松籟館で過ごすことにした場面から始まります。
寮には美国の他、同級生の光浩と寛治が残っていて、そこに自宅通学の統が加わり、この4人が冬休みに寮で過ごす7日間が描かれています。
彼らには、それぞれ辛くて苦しい過去がありました。そうした過去を彼らが夜のゲームの中で順次告白していくことで、物語は進みます。
寛治の両親は、性格の不一致を理由に離婚調停中で、お互いに寛治を引き取りたいと思っています。寛治は両親と距離を置き、どちらも選ばず一人で生きていこうと思っています。
統は、子供の頃母親を亡くし、父親は天文学者で殆ど家にいないため、一人暮らしをしています。一週間前、父親の電気カミソリを見つけたのをきっかけに、自分が母親を感電させて殺したと思い込み、それから母親の幻に苦しんでいます。統は子供の頃、母親から虐待を受けていました。母親は、自殺したのが事実のようです。
光浩は、百貨店を継いで社長だった父親の妾の子供です。父親は、高校の同級生だった光浩の母親と愛し合い付き合っていましたが、傾きかけていた百貨店の経営を立て直すため、金融業者の娘・敬子と結婚します。けれども結婚後も光浩の母親と付き合い続け、光浩が生まれます。その後二人は、光浩を残して心中します。光浩は本妻の敬子に引き取られますが、13歳の時から敬子に性的虐待を受けています。愛していた夫に裏切られた敬子の、生き残った者へのやり場のない強い憎しみを感じました。光浩は、何の罪もない被害者です。
美国の両親は、海外赴任中です。子供の頃、父親の愛人に誘拐されたことがあり、そのトラウマのため女性のことが怖くなり、女性と上手く付き合うことが出来なくなります。そのため、付き合っていた紘子とも別れてしまいます。紘子は、別れる理由を知りたいと思っています。
そうした四人の告白の間に、吊るされた人形による統への嫌がらせ騒動や入学して半年で心不全で亡くなった同級生の幽霊騒ぎなどが取り入れられ、ミステリーっぽい要素も加わります。
そして、真剣なテニスの試合や早朝のランニング、未成年にも関わらずお酒を飲みながらの夜の宴会など、いつもと違う生活を楽しみながら、彼らは絆を徐々に深めて行きます。
お互いのさりげない思いやりが、お互いの辛く苦しい思いを少しずつ癒し、彼らの今後の人生に大きな影響を与えるものとなっていったように思いました。
冬休みの短い期間に、寛治の両親が学校や寮を訪れたり、統が父親の仕事の都合で、大晦日に突然アメリカに行くことになったり、光浩を引き取っていた敬子が亡くなり、光浩の後見人になった弁護士が訪れたりと、目まぐるしい展開がありました。
寛治が松籟館を「自分たちの家」といった言葉に、松籟館は今の彼らにとって、本当に大切な場所になっているのだと思いました。生きていく上で、安らげる場所があるということは、本当に大事なことです。
後見人となった弁護士が帰った後、光浩は美国に、「敬子の墓参りに今はまだ行けそうもないけど、いつか行けそうになったら、一緒に行って欲しい」と頼みます。美国は「もちろん」と答えます。そして美国は、年が明けたら、過去のトラウマのため別れを告げた紘子に会いに行こうと思います。
いろいろな問題がすべて解決したわけではありませんが、四人が冬休みに松籟館で過ごした7日間は、彼らにとってかけがえのない大切な日々となりました。
読後、彼らの未来が明るいものであって欲しいと願いました。
瑞々しく爽やかな青春を感じ、改めて友情って良いなと感じた一冊でした。

今日が幸せな一日でありますように。