ご挨拶
こんにちは、こんばんは、ちまです。
暑い日が増えてきましたね。うちの猫はおデブさんなので最近は涼しい所にいる事が多くなりました。
今日お話しするのは、夏川草介さんの「本を守ろうとする猫の話」です。
あらすじ
「お前は、ただの物知りになりたいのか?」
夏木林太郎は、一介の高校生である。夏木書店を営む祖父と二人暮らしをしてきた。生活が一変したのは、祖父が突然亡くなってからだ。面識のなかった伯母に引き取られることになり本の整理をしていた林太郎は、書棚の奥で人間の言葉を話すトラネコと出会う。トラネコは、本を守るため林太郎の力を借りたいのだという。
ひとり言
夏川草介さんの「本を守ろうとする猫の話」を読みました。
高校生、夏木林太郎の親代わりの祖父が亡くなります。祖父は古書店を営んでいましたが、店は閉店され、彼は叔母に引き取られることになります。
古書店「夏木書店」は、美しい装丁の本や、入手するのが難しいような本が中心のマニアックな古書店でした。そして、そんな本を絵本代わりに読んで林太郎は育ちました。
閉店セールをしていた閉店後、薄暗い店内にいる彼の元に、言葉を話すトラ猫が現れます。
猫は林太郎に、「閉じ込められた本を助け出さねばならぬ。わしに力を貸せ」そして、「ついてこい」と言います。
訳も分からないまま、店の奥に進んで行く猫についていくと、壁にぶつかることもなく猫はどんどんと進んで行きます。
さらに進んで行くと、林太郎は光に包まれていき、そこには見たこともないような世界がありました。
こうして林太郎は猫とともに本を救う旅に出て、「4つの迷宮」で様々な人物と出会い「本に対する考え方」をぶつけ合うことになります。
第一の迷宮では、「閉じ込める者」と出会います。彼は、一度読んだ本を2度読むことは価値が無いと言います。
林太郎は祖父の「本を読むことは素敵なことだけれど、行動しなければ宝の持ち腐れになってしまう。本に書いてあることは、だれかの言葉に過ぎない」という言葉を思い出し、彼に「本をめくることばかりしている学者は、ついにはものを考える能力を喪失する。本をめくらないときには考えなくなる」と言い返します。
どれだけ多くの本を読んだとしても、だれかの言葉を自分で考え、自分で行動して、初めてそのだれかの言葉が意味を持ってくるのだと思いました。私には何度でも読み返したい本がたくさんあります。それらの本は私の宝物です。
第二の迷宮では、「切りきざむ者」と出会います。
彼は、一冊の本を読む時間を速くすることで、多くの本を読むことを追求していました。
いくら沢山の本を読んであらすじだけを知ったとしても、第一の迷宮と同様に、そこに書かれている文章を自分の頭で考えて、理解しないと本当にその本を読んだことにはならないのではないかと思いました。
第三の迷宮では、「売りさばく者」と出会います。
彼は「今の世の中の人たちは忙しすぎて、分厚い傑作文学などに費やしている時間もお金もないんです。でも社会的ステータスとしての読書はまだまだ魅力的ですから、誰もが小難しい本で貧相な履歴書を少しでも派手に飾ろうと躍起になっています。そういう人たちが何を求めているかを考えて、私たちは本を売る。儲からなければ意味がない」と言います。この中の今の私達を言い表わしている言葉には、考えさせられるところがありました。
最後の迷宮では、「二千年近い時を経て受け継がれ、世界で一番読まれている本自身」と
出会います。
彼女は言います。「人は本で身を飾り、お手軽に知識を詰め込んでは、読み捨てていく。思いだけでは何も変わらない」と。その言葉に対して林太郎は、「人を思う心、それが本の力なんだ」と反論します。
彼女は本の表面だけを読んで 、内容をろくに理解されず読み捨てられることに、深く傷ついていたのでしょう。
本の読み方は人それぞれだと思います。選ぶ本も違えば、同じ本を一度しか読まない人、何度も読み返す人。読むスピードの速い人、遅い人など。読み方は違っていても、私も含めて皆本が好きだから読んでいるのだと思います。
物語の終盤にトラ猫が林太郎に言った「大切にされた本には心が宿り、そして心を持った本は、その持ち主に危機が訪れたとき必ず駆けつけて力になる」という言葉がとても印象に残っています。私自身も読んだ本に助けられたことが何度もあります。本には、私達に様々なことを教えてくれる大きな力があると思います。作者の本を大切に思う熱い想いを感じました。私はこれからもずっと本を大切に読み続けたいと思います。
読み終えた後、この物語が絵本になればいいなと思いました。本が読まれなくなったと言われる今、幼い子供たちがその絵本を読んで本を好きになり、本を大切に読んでくれる人になってくれたら良いなと思いました。
今日が幸せな一日でありますように。