ご挨拶
こんにちは、こんばんは、ちまです。
この間、今まで使っていたドラム式の洗濯機から縦型の洗濯機に変更しました。
ドラム式の頃は通路が狭く感じていたのですが、縦型になると蓋が側面には無い分通路がとても広く感じました。
全体的にスリムになったので周りの掃除もしやすくなってとっても良いです!
今日お話しするのは、夏川 草介さんの「臨床の砦」です。
ひとり言
夏川 草介さんの「臨床の砦」を読みました。
全国で新型コロナの感染者が爆発的に増え医療崩壊が起きた、2020年末から2021年の年始にかけての逼迫する医療現場がリアルに描かれています。
42歳の敷島寛治(しきしまかんじ)は、長野県にある信濃山病院の内科医です。本来の専門は消化器内科ですが、勤務している病院が感染症指定医療機関であるため、発熱外来や新型コロナ患者の治療も行っています。この地域で唯一、コロナの患者を受け入れている病院です。
病院が持っている感染者病床は6床でしたが、コロナ感染者急増のため、内科部長の三笠は患者を受け入れるために36床に増やすと言います。
今でも限界が近づいているコロナ診療を担当する医師や看護師にとって、負担は膨大なものになります。そうしたことをわかった上で医師として患者を受け入れようとする三笠医師の苦渋の決断を感じました。
そうした中、老人施設でクラスターが発生し、認知症や自分で食事や排泄の出来ない患者が入院して来ます。コロナ発生のため、院内の清掃まで看護師の仕事になっている上に、老人介護まで、医療従事者はますます過酷な状況に追い込まれます。
そうした地域医療が危機に陥っているにもかかわらず、周囲の病院は コロナ患者の受け入れに消極的です。行政の在り方に苛立ちを覚え、迅速で的確な指示のできる人の必要性を痛感しました。
コロナの医療従事者は、自らの感染に恐怖と体力の限界を感じながら、懸命にコロナ患者の治療に当たっている中、院内でクラスターが発生します。
他の科の医師たちが感染症病棟を責める発言をしたり、政治家の無知な発言があったりと、医療現場の危機感は伝わらず、医療従事者は理不尽な医療現場批判に晒されます。
また、病院関係者に差別的発言をする人や、子供に「病院関係者の子供と遊んではいけない」という人まで現れます。感染を恐れるがあまりの言動は理解出来なくはありませんが、命懸けで闘っている医療関係者のことを思うと、やるせ無い気持ちになりました。
そうした壮絶な現場の中、敷島はコロナ感染のため最期を看取ることの出来ない家族のため、オンラインで対面できるようにします。家族は敷島の思いやりを一生忘れないと思います。心が温かくなりました。
この小説は現実への警告であり、コロナ禍に限らず災害から日常を取り戻すためには、多くの人の力が必要であることを教えてくれます。
経済との兼ね合いもありますが、今置かれている現状に対して最善の策を考える必要があります。
そのためには、正しい情報を報道するマスメディアの力が必要だと思いました。多くの一般の人々が正しい情報を知り世論(せろん)を動かすことによって、行政も後回しにしていた対応をせざるを得なくなります。情け無いことですが、それが現実です。
敷島は、コロナ診療をする今の病院を「砦」と言います。何としてもここでコロナ感染を食い止めたいと思う、医師としての使命を感じました。
三笠も敷島も現状のままでは次の波を乗り切ることは出来ないと思い、現状を変える必要があると思っています。
敷島の長女は、今嫌な事は「お父ちゃんが全然早く帰ってこない事」だと言います。そうした中敷島は、今日も「砦」に向かいます。
医師や看護師、ワクチン開発に挑んだ科学者など、コロナと闘う人々 への感謝の念に堪えません。
将来を見据えて一石を投じ発表した、作者の医師としての勇気と覚悟を感じた作品でした。
年代を問わず、多くの人に読んで欲しい一冊です。
今日が幸せな一日でありますように





