【小説】熊谷 達也「明日へのペダル」【感想・あらすじ】

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ひとり言
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ご挨拶

こんにちは、こんばんは、ちまです。
私は外出する時に新しい飲食店を見つけた時には行ってみる事にしてるのですが、最近は当たり率が高くて困っておりますw
3店舗ほど新しいお店を見つけ、その全てがとても安くて美味しいお店でした。近所という訳ではないので頻繁には行けませんが、近くを通った時には絶対に寄りたいお店になりました。
今日お話しするのは、熊谷 達也さんの「明日へのペダル」です。

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あらすじ

55歳の本間優一は、仙台にある印刷会社の室長です。
健康診断での結果を見て、何とかしなければと思っていたところ、部下の水野唯に勧められ、ロードバイクを始めます。
唯の指導の下、優一はロードバイクのいろいろな楽しさを知り、夢中になります。
そうした中コロナ禍になり、リモート勤務が始まり、経済にも影響を及ぼすようなっていきます。
優一はロードバイクによる健康回復と会社生活を両立していましたが、唯がリストラされたことをきっかけに自らも退職します。
その後、唯が中心となり、かつての部下達とともに新しい扉を開いていきます。
前向きに生きる人達に元気が貰え、爽やかな風を感じる物語です。

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ひとり言

熊谷 達也さんの「明日へのペダル」を読みました。
2020年から2021年にかけての、仙台を舞台にした物語です。
55歳の本間優一は、印刷会社の第二企画室長です。
健康診断で脂質異常をD判定とされ危機感を抱き、健康回復のため部下の水野唯に勧められたロードバイクを始めます。
唯は、ロードバイクでは大会に出場する程の実力があり、突出したIT技術と人材ネットワークを持ち、仕事においても有能な女性です。
唯の指導の下、ロードバイクを始めた優一は、バイクで走ることの魅力に引き込まれていきます。
そうした矢先、コロナの感染が拡大し緊急事態宣言が出され、会社でもリモートワークが取り入れられるようになります。
ここでも唯のIT技術の才能が発揮されます。羨ましい限りの才能です。読んでいる私までスカッとして嬉しくなりました。
コロナ禍で仕事のやり方も人との距離感も変わっていき、経済にも大きな影響が出始めます。
優一の会社も例外ではなく、業績不振に伴うリストラが行われます。優一の部署では、若いということと残業が少ないという理由で、唯がリストラの対象になります。自分の仕事を効率よく完璧にこなし残業をしない唯の処遇に納得出来ない優一は、自らの退職を決意します。
不器用だけど誠実で真っ直ぐな優一の生き方です。そうした優一の生き方を明るくサポートする優一の奥さんも素敵です。
こうした部下の痛みを分かち合おうとする上司の下で働くことの出来た部下は、幸せでしたね。と、思って読み進めると、驚くべき展開が待っていました。
会社を解雇された唯が、株の運用で得た資金を元手にITの合同会社を立ち上げていたのです。そして、そこでは優一の部下だった全員が会社を辞めて働いていたのです。唯は優一に、優一の力がどうしても必要なので、一緒に働いて欲しいと頼みます。
始めは固辞していた優一でしたが、唯の会社が軌道に乗ったら身を引くつもりで、契約社員の身分でならと受け入れます。こうした対応をする上司を、部下が慕う気持ちが良く分かります。
優一は、唯の不得意な分野をフォローするため、その後も唯の会社で働くことになります。優一にとっても唯をはじめとする元部下達にとっても、第二の人生のスタートです。
世代が違っていても、他人の痛みを思いやる気持ちや信頼出来る人との繋がりの大切さを改めて感じました。
あまりに理想的な上司と部下の関係に、ちょっと上手く行き過ぎの展開ではと思いましたが、社会生活での人間関係において、現実でもこうあって欲しいものだと強く思いました。
優一のロードバイク愛を通して、東日本大地震の被災や新型コロナ禍を絡めながら、物や情報が溢れている現代において、本当に大切なものは何かを気づかせてくれる上質な人間関係が清々しく描かれていました。
前向きに生きる人達に元気が貰え、爽やかな風を感じ、幸せな余韻の残る物語でした。

今日が幸せな一日でありますように。