【小説】伊吹 有喜「四十九日のレシピ」【感想・あらすじ】

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ひとり言
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ご挨拶

こんにちは、こんばんは、ちまです。
今日は寒い季節にとてもお世話になった鍋のスープをご紹介しようと思います。
「至福のゆず醤油」と「焦がし醤油 うま豚鍋」です。
去年、安いからという理由で購入したものですが、味が私たち夫婦の好みでそれ以降リピート購入していました。
雑炊にしても美味しくて冬場は欠かせないスープになりそうです…!
今日お話しするのは、伊吹 有喜さんの「四十九日のレシピ」です。

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あらすじ

乙美は38歳の時、5歳の娘・百合子がいる熱田良平と結婚し,家族を愛し生きていました。そうした中、乙美が,心臓発作のため71歳で急逝します。
生きる気力を失った良平のもとに、生前乙美に頼まれ、四十九日まで良平の世話をすると言って、真っ黒に日焼けして金髪の井本という女の子が訪れます。
そして、乙美の想いが綴られた「四十九日のレシピ」をもとに、生前の乙美に対して後悔の残る家族が、少しずつ前を向いて生きて行けるようになります。
乙美の愛情の込もった「レシピ」は、残された家族が日々の暮らしに困らないための「レシピ」であると共に、前を向いて生きて行くための処方箋でもありました。
温かな余韻の残る感動の物語です。

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ひとり言

伊吹 有喜さんの「四十九日のレシピ」を読みました。
「四十九日」は、命日から49日目に行う法要です。この物語は、「四十九日」までの49日間の物語です。
乙美(おとみ)は38歳の時、5歳の娘・百合子がいる熱田良平と結婚し、精一杯家族を愛し生きていました。そうした中、乙美が心臓発作のため71歳で急逝します。
良平は乙美の葬儀後、些細なお弁当の汁漏れで思わず怒鳴ってしまった乙美との最期のやり取りを後悔し、生きる気力を無くしてしまいます。百合子も子供の頃、乙美の心尽しのお弁当を拒否したことを後悔しています。そして今彼女は、夫の女性関係で離婚の危機にあり、辛い日々を送っています。
乙美のあとを追うことも考え始めた良平の家に、突然派手な身なりの若い女性が訪れます。
女性は乙美がボランティアで料理や家事一般を教えていた施設の生徒の井本幸恵でした。井本は、乙美から四十九日まで良平の面倒を見るように頼まれ、その間のバイト代も受け取っていると言います。そして、乙美から教えられていた「暮らしのレシピ」の冊子を乙美の机から取り出します。
その中には「四十九日のレシピ」と書かれた冊子もあり、「読経や焼香はいらず、ここに書かれているレシピの料理を立食形式で出して、みんなで楽しんで大宴会を開いて欲しい」という内容のことが書かれていました。最初は戸惑いながらも、乙美の願いを叶えるべく、井本が力仕事を頼むために連れて来た、近くの自動車工場で働く日系ブラジル人のカルロス矢部も加わり、四人は乙美が望んだ「四十九日」の実現に向けて動き始めます。今時のギャルのいもちゃんとカルロスの優しい人柄がほのぼのとして素敵で、物語を温かいものにしています。
良平と百合子は、乙美の残したレシピで乙美の望んだ「四十九日」の法要の実現に向けて始動することで少しずつ立ち直り、前を向いて生きて行くことが出来るようになります。立ち直るためには、何か目標を持つことが大切な事なのだ思いました。
良平と百合子の乙美に対する後悔、そして良平の妻への想いと百合子の母への想いが、乙美の残したレシピに託した想いを通してひしひしと感じられました。
本当の自分の気持ちを伝えることが出来ないまま突然の永遠の別れを余儀なくされた時、残された者は、辛い想いを胸に抱いたまま生きていかなければいけません。乙美の残したレシピは、良平と百合子に、「二人の気持ちはわかっているよ」と言っているようです。
そして、訪れた「四十九日」の当日。
良平と百合子、いもちゃん、カルロスの手によって、乙美が望んだ大宴会が開かれます。そして、四人の想いを込めた乙美の年表が、訪れた人々の手によって埋め尽くされます。生前、誰からも愛された乙美の温かい人柄が感じられ、自分のことのように嬉しくなりました。私も乙美のように、優しい気持ちや思いやりの心をいつまでも失わないで生きて行きたいと思いました。
優しさに満ち溢れたいつまでも温かい余韻の残る物語です。

今日が幸せな一日でありますように。