【感想】平野 啓一郎「かたちだけの愛」【あらすじ付き】

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雑記
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ご挨拶

こんにちは、こんばんは、ちまです。
秋といえば読書の秋!これからもたくさんの本を読んでいきたいです!
今日お話しするのは、平野啓一郎さんの「かたちだけの愛」です。

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あらすじ

事故による大怪我で片足を失った女優と、その義足を作ることになったデザイナー。しだいに心を通わせていく二人の前に立ちはだかる絶望、誤解、嫉妬……。愛に傷ついた彼らが見つけた愛のかたちとは?

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ひとり言

平野啓一郎さんの「かたちだけの愛」を読みました。
プロダクト・デザイナーの相良郁哉は、南青山の事務所の近くで起こった交通事故で瀕死状態の女優、叶世(かなせ)久美子を助けます。久美子は、片足を切断するという重傷を負っていました。
事故を起こしたドライバーは、郁哉に十万円を押し付け、運転していた車で現場から逃走し
てしまいます。郁哉が助けた女性は「美脚の女王」として有名な女優でした。そして立ち去った男は、彼女が付き合っていた会社社長の三笠竜司でした。
久美子は、郁哉が過去に仕事でデザインを手がけた、原田紫づ香が経営する病院に入院します。紫づ香は郁哉に、久美子のために歩行やリハビリといった目的のためだけではなく、誰が見ても美しいと思えるような義足をデザインして欲しいと頼みます。
郁哉と久美子は、義足の制作に向けて出会いを重ねるうちに徐々に信頼関係を築いていき、次第に恋愛感情を抱くようになります。そうした中、以前久美子と付き合っていた三笠が、久美子に執拗に付きまとい、郁哉にも嫌がらせをするようになります。
また郁哉は、幼少期に家族を捨てて出て行き、音信不通だった母親の遺骨が突然送られてきて、忘れかけていた自分の過去を思い出すことになります。
郁哉と久美子はお互いの存在に思い悩みながらも、郁哉は彼女を献身的に支えて、最高の義足を作るために全力を尽くします。
この物語は、郁哉が離婚した妻の「あなたにとって、愛って何なの?」という問いかけから始まります。そして妻は「かたちだけの結婚なら、続ける意味なんてない。」と言います。そしてその時郁哉は、妻の問いかけに対して「少なくとも、水や空気みたいに、無いと死ぬってほどのものでもないよ。」と答えます。
私は最初「かたちだけの愛」というタイトルから、多方面で理想的な義足を作る者と、その義足を受け取る者との、ギブアンドテイクの関係の恋愛小説なのかと想像して読み進んでいました。けれども、読んでいるうちに、そうした一面はあるものの、それだけではないように感じました。若い時とはまた違う、社会を経験した大人の恋愛だと思いました。
郁哉は、離婚した経験や幼少期からの母親との葛藤があり、久美子は性的に奔放な過去がありました。そうした過去に加えて、郁哉が久美子の義足をデザインするという要素が加わり、二人はこれまで自分の持っていた愛の概念を見直し、人を愛することとは何かということに向き合っていったのだと思いました。
郁哉は久美子への想いを義足をデザインすることによって愛をかたちにし、久美子はその愛のかたちを受け取り、お互いに相手のことを、大切なかけがえのない存在であることに気がつきます。
そして、久美子は郁哉が思いの丈を込めてデザインした義足を身につけ、自信を持ってファッションショーのランウェイに登場するのです。義足はこれまでのイメージを覆し、逆に人目を惹きつけるものになったのです。
この物語は、郁哉の妻からの問いかけに始まり、彼に「愛にはかたちも大事ですよ」という女性の言葉など「愛とは何か」ということが問いかけられています。
郁哉が久美子のために義足をデザインをする過程で、二人は徐々にお互いのことをかけがえのない大切な人として認識するようになっていき、久美子がランウェイに登場した時、二人のそうした想いは確信に変わったのだと思いました。
郁哉は自分の想いをかたちにすることによって、また久美子はそのかたちを受け取ることによって、二人は自分の心の奥底にある相手に対する想いに気付き、自分にとってかけがえのない大切な人の存在を感じ、この先もずっと一緒に歩んで行きたいと思える人に出会えたのだと思いました。
愛の対象は、人に限らず、動物や植物、芸術など様々です。
愛とは生きていくために必要なものとして、生きていきたいと感じた物語でした。

今日が幸せな一日でありますように。

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