【小説】汐見夏衛「ないものねだりの君に光の花束を」【感想・あらすじ】

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ひとり言
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ご挨拶

こんにちは、こんばんは、ちまです。
オトメニアチャンネル登録者数が100人を超えました!
いつもご視聴してくださる皆様のおかげです。本当にありがとうございます。
これからも頑張っていきますので、オトメニアチャンネルをよろしくお願いします。
今日お話しするのは、汐見夏衛さんの「ないものねだりの君に光の花束を」です。

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あらすじ

高校二年生の染矢影子は、普通で個性がないことにコンプレックスを持ち、自らを「永遠の脇役」だと思っています。
同じクラスには、人気アイドルグループのメンバーで、ソロシンガーや俳優としても活動する鈴木真昼がいます。彼は全てのことに完璧で、影子にとっては近寄り難い存在でした。
けれども一緒に図書委員をすることになり、少しずつ話しをするうちに、彼の隠された影の部分を知るようになります。
幼児虐待やSNSなどの社会問題も含んだ、希望が見出せる物語です。

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ひとり言

汐見夏衛さんの「ないものねだりの君に光の花束を」を読みました。
高校二年生の染矢影子は、普通の家庭に育ち、両親に愛されながら毎日を過ごしています。けれども自らを「永遠の脇役」だと思い、心の奥底では、特別な存在になりたいと強く願っています。
彼女のクラスには、人気アイドルグループのメンバーで最近では、ソロシンガー、若手俳優としても活動する「天然記念物級イケメン」である鈴木真昼がいます。
彼は成績優秀でスポーツ万能、しかも性格も良く陽の当たる道を歩くことを約束された、影子にとっては特別な存在です。
席替えで真昼と隣の席になった影子ですが、特別な存在の真昼に対して自分の普通さを歯痒く思い、真昼となるべく距離を置くようにしています。
そうした二人が、一緒に図書委員をすることになります。
二人で図書委員の仕事をするうちに徐々に打ち解けるようになり、影子は今まで知らなかった真昼の一面を目の当たりにします。
そうしたある日の放課後、司書の先生に頼まれて二人だけで書庫の整理をしている時、普通を求める真昼に対して、普通であることに不満で特別であることに憧れを持っている影子は、真昼の過去を知らないため、真昼が「お前は、いいな。すごく、普通だから」と言った言葉に対して、きつい言葉で憤りをぶつけてしまいます。
真昼は幼少期、弟とともに母親の酷い虐待を受けていました。そのためクリスマスイブの日、弟を亡くすという言葉では言い表わせないほどの辛い過去がありました。真昼は、弟を助けてやれなかったという苦しい思いを今も引きずっています。
その真昼の辛い過去に、影子のお父さんが関わっていたのには、本当に驚きました。そしてその時、お父さんは真昼にとってヒーローになりました。その時に取ったお父さんの行動には感謝しかありません。咄嗟に人に優しくできる人は本当に素敵です。影子の普通の幸せな日々は、このお父さんの優しさあってのものだと思いました。
その後真昼は、子供の頃のことでのSNSの誹謗中傷で傷つき、仕事も出来ず、学校に通うことも出来なくなってしまいます。
真昼の辛い過去を知った影子は、自分が普通であることに不満を持つことは、贅沢な悩みであることに気づきます。そして真昼の力になりたいと思い、行動を起こします。その時の影子の行動に対するお父さんの英断は、優しい思いやりに満ち、責任感を感じられるものでした。影子のお父さんと真昼が、これから本当の父と息子のような関係を築けることを願いました。
影子の助けを借りながら真昼は立ち直り、再び活動を再開出来るようになります。そして影子もまた自分のやりたいことをやると、自分の生き方を見つけていきます。
真昼が辛い過去から這い上がり、ひたむきに懸命に前向きに生きようとする姿には、希望を感じ勇気づけられました。
特別と普通、主役と脇役、光と影の対比や、自分にないものを欲しがる「ないものねだり」の描写によって、大事なのは、自信を持って自分らしく生きることだと教えられたような気がします。
「幼児虐待」や「SNSでの誹謗中傷」など、社会問題についてもリアルに描かれていて、問題提起をし、読後そうした問題を再度考えてみて欲しいという作者のメッセージを感じました。
最後の「誰かにとってその他大勢でも、他の誰かにとっては唯一無二かもしれない。」という言葉が、とても印象に残っています。
自分自身としっかりと向き合い後悔のない自分の生き方を見つけ、人に対して思いやりの心を持って生きて行きたいと思った物語でした。

今日が幸せな一日でありますように。